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隣のテーブルにいた内崎が立ち上がった。
どうやら会計を済ませるみたいだ。
「社長,ちょっとお手洗い行ってきます」
「おお,行ってこい。
それでさぁ凉子ちゃーん、その時俺がよ・・・」
すっかり凉子に心を奪われている静兄ィ。
忘れてはいないだろうと思うが、やっぱり心配だ。
ため息をつきながら、手洗い場へ向かおうとした瞬間、俺の目の前は真っ暗になり、コンマ数秒の遅れとともに尻餅をついた痛みを感じた。
そして目を開けると、目の前には内崎も倒れていた。
俺と内崎は互いにぶつかったのだ。
「なにぶつかりにきてんだコノヤロォ!!」
先に立ち上がったのが内崎。
まだ尻餅をついている俺の胸ぐらをつかもうとしたが・・・
「うちの秘書が粗相をしてしまって申し訳ありません」
胸ぐらを捕まれる前に、横から静兄ィの手が出た。
「少ないと思いますが、治療費とクリーニング代として取っておいてください」
静兄ィの財布から、約100万円ほどの札束を取り出した。
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