367人が本棚に入れています
本棚に追加
「お、おおそうか。
まあ俺も鬼じゃないし、ありがたく受け取ろうじゃないか」
いきなり札束を出されて一瞬戸惑った内崎。
そりゃ誰だって戸惑うだろう。
ただぶつかっただけで、クリーニング代と治療費で100万というのは普通はない。
しかし、内崎はほんの一瞬戸惑っただけで、あとは笑いながら100万円を静兄ィから受け取った。
「触れ合う袖も他生の縁といいますか。
よければもう少し飲んでいきませんか?
もちろん代金は私が持ちます。
時間があればの話ですが」
「それじゃあ、お言葉に甘えて…
どうせ、今日の予定はもうないし」
そして俺たちは、さらに店の奥の3人がけのソファへ移動した。
そこではキャバ嬢を入れないで、俺と静兄ィと内崎で座った。
「そうそう、自己紹介がまだでしたね。
私は森川不動産の社長をしております、森川光太郎と申します。
そして私の隣にいるのが、秘書の山下大樹です」
名刺入れから静兄ィは名刺を取り出して、内崎に渡した。
それに続いて俺もポケットから名刺入れから名刺を取り出して渡した。
今回の作戦のために俺は山下、静兄ィは森川という偽名を使っているのだ。
「こいつはご丁寧にどうも。
俺は内崎徳夫ってものだ。
職業は…まあ…色々だ」
やはり職業についてはあまり話したくないらしいな。
だから、内崎から信頼を勝ち取るためにも、これ以上職業に関することを突っ込んでいったら作戦が台無しになってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!