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『いやだぁ…逝かないで……
死んじゃダメだってばぁッ!!』
…まだ温かさが残る彼の胸の上でそう叫んで泣いた。
しばらく泣いていた私だったが、
どんなに私が泣いても最愛の人は戻ってこないことを悟った…。
霊安室に運ばれる彼に、
――…最後にキスした。
……彼との最後のキス…。
――…お別れのキス……。
しょっぱい私の涙の味と…
―――…絶望の味がした…。
…………病院の洗面所で、
最愛の人を失ったどうしようもない哀しみと絶望…
途方もなく流れでてくる涙でグシャグシャになった顔を、
目の前の哀しい現実を洗い流すかのように…
夢であって欲しいと願いを込めて…
―――…私は洗い続けた。
『………ねぇ神様なんで?
なんで私から彼を奪ったの??』
鏡に映った自分に向かってそう呟いた。
…………時に神様は残酷だ。
私の最愛の人を奪った神様を本気で恨んだ。
『あの人がいなきゃ私は……』
――…生きてる意味なんてない…。
鏡に映った自分を見つめて考えたのは〝 死 〟だった。
――…私も彼の元へ行こう……
死ぬ事にためらいはなかった。
……………だって…
私は最愛の人の元へ行くのだから…―――――……
―――…神様…
私は貴方を恨んでいます。
…………だけど…
どうか今から私が言う願いごとを叶えて下さい。
『また最愛の人と未来で逢えますように…
そして…
今度こそ2人は幸せになれますように…』
そう願いながら、
素手で叩き割った洗面所の鏡でリストカットして私は自らの命を絶った。
いま私が神様に願った…
私の最後の願いが叶えられようとしていた……。
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