序章

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「何が可笑しいのですか?」  ジャンは真剣に怒りだした。  ジェラールは慌てて真顔に戻り、軽く頭を下げた。 「失礼した。しかし、無い罪を裁く事は出来まい。」    これにはジャンはともかく、オーバンまでもが驚きの表情を浮かべた。 「何故彼が無罪だと言えるのですか?!」  ジャンの声色は興味につられて興奮していた。  ジェラールは百人の女性をも虜にしそうな笑顔で答えた。 「ブランシャール公。貴公が小一時間程この男と口を利く機会があれば、直ぐに誤解も解けましょう。」    彼の言葉に、オーバンは溜息を吐きながら頭を振った。  ジャンは思い切り吹き出したが、慌ててその場をとりつくろうとした。  先程笑いを漏らした二人の貴族を責めたてたばかりだったので。  しかし、彼が恐る恐る顔を上げると、ジェラールは相も変わらず穏やかな笑みを浮かべていた。
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