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私はアスに向かって右手を差し出した。
「私の名前は想華。サポート、頼んでもいい?」
私がそう言うと、アスはにっこりと笑って私の、手を握る。
「もちろん。よろしくね、想華」
私も、笑い返した。
……人前で笑うの、久しぶりだ。
私はどうやら、すでにこのゲームにはまってるらしい。
私はアスから簡単なレクチャーを受けると、初心者用の草原フィールドへ出た。
空が突抜るように蒼い。
辺りを見渡す。
このフィールドは基本的に、膝の辺りまでの高さの草が一面に広がっていて、所々に色鮮やかな花や、背の高い木なんかが点在している。
このゲームの宣伝ポスターにも描かれていた風景。
私がこのゲームをしようと思った理由だ。
「じゃあ、想華。モンスターを探してみようか?」
アスが、風景にみとれていた私に言う。
「うん」
私はこくりと頷くと、目の前にマップを出現させる。
このマップには、自分やパーティーメンバー、モンスターに、他のプレイヤーなんかの位置が分かるようになっている。
マップ自体は半透明で、これを出した状態でもフィールドやダンジョンを動き回れる。
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