余命と桜

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実感がない。 私が…死ぬなんて。 『…嘘』 目の前に座る医師にそう呟く。 何度もその口で余命を告げてきたであろう医師がまるで台本でもあるかの様に語る。 「嘘ではありません。貴方の体には──…」 医師の言葉に唖然と固まることしか出来なかった。 元々体が丈夫ではない私は中学まで入院と退院を繰り返していた。 でもまさか…死ぬなんて 「どうなさいますか?もっても一年です。今は何の症状もありませんが段々と体が衰えて寝たきりになります」 どうやら治療法はないらしい。 ただ死を待つだけ… だったらこんな場所で終わりたくない。 『…入院は…しません。入院はぎりぎりまで待ちます』
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