第3章

58/66
前へ
/159ページ
次へ
焔が腕に仕込まれた魔法陣を展開すると、彼の背後へ大量の表示枠が壁のように林立した。 その直後、焔と表示枠とを繋ぐ電子的な表示線が、半導体の電気経路にも似た模様を描き出し、表示枠全体へプログラミングが走り抜けてゆく。 「召喚せしは煉獄の主!! 火を統べ、一界を統べしその残虐なる嚇灼をここに振るえ!!」 焔が叫んだ言葉に対し、未来は魔力を飛ばして魔杖を呼び戻すと、高速でコンソールに指を走らせた。 「槍斧、砲塔を経て第三次形態へ移行」 『Password...』 「るーちゃんかわいい、愛してるっ♪」 「真面目な場面でそこだけボケかよ!!」 「わっかんないかなぁっ!!? 最後の『っ♪』が難しいんだよっ!?」 「わかってたまるかぁッ!!」 『Password Realization!!』 コンソールが楽しげに文字を躍らせた瞬間、未来の魔杖を魔法陣が取り囲み、巨大にカウリングする。 砲塔から溢れ出す莫大な光は、魔杖自身を飲み込みながら急速に形を成してゆき、巨大な槍を象った。 全長にして20メートル、その内刃渡りだけで半分を占める、もはや剣と呼んで差し支えないそれを、未来は空へ掲げて笑みを作った。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加