第3章

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「叫べ!! 踊れ!! 其の激流、瀑布となるまで猛り狂え!!」 それと同時に、焔もまた術式を完成。背後の表示枠がガラスの割れる音と共に弾けると、焔の全身に機械的な模様が乗り移った。 “始動キー付きってやばいなぁ……ちょっと挑発しすぎたのかなぁ” 全身に纏う赤の奔流の濃度が増す焔を見据え、槍を作り上げる未来はわずかな焦りに息を飲んだ。 これから放たれる魔法には、聞き覚えがある。 昨年(神ノ聖国)と戦った際に、焔が景気付けにと大型戦艦を一撃で葬った術式だ。 “何だっけ、爆発を連続させて、衝撃波と熱で引きちぎるんだったっけ?” 気楽に考えるが、アレは非常にまずいヤツだ。 あれは焔が持つ術式の中でも、高位に位置する凶悪なシロモノ。形成した槍一本で対抗できるかといえば、全く自信はない。 「だけどもうやるしかないんだよっ!!」 作り上げた大槍へありったけの水属性を与えると、未来の周囲を走っていた青の力が大槍へも乗り移った。 「オレ相手にパワー勝負とは、ずいぶんな自信じゃねえか」 「ほむほむ先輩が大人気ない魔法使うからでしょおっ!? もー絶対手加減なんかしてあげないんだからぁっ!!」 「それが良い度胸だって言ってんだよ」 そして、2人は共にオーバースローで振りかぶると、 『いっけぇぇええ!!!!』 互いの術式を正面から衝突させた。
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