第3章

60/66
前へ
/159ページ
次へ
◇◆◇ 「何よ、この程度? 自分から挑んでおいて、これは無いんじゃないかしら」 「は……っ!! はぁっ……!!」 暗子が放った闇の直流を、セイルは紙一重で避けることに成功した。 しかし。 “まさか本人が飛び込んでくるだなんて……!!” たった一撃。 鳩尾に食い込んだ拳によって、セイルは大きく吹き飛ばされてしまった。 絶息し、動けなくなった自分へ矢継ぎ早に叩き込まれる黒球の連撃。 アウローラと残る2本の腕で弾くことは出来たものの、数発直撃を許してしまった。 直撃を受けたのは、頭部と腹部の2ヶ所。緊急障壁の展開しない威力に調節されたものだったが、それでも絶息と平衡感覚の消失は避けることができなかった。 「くっ……あ」 地面に這いつくばりながらも、セイルは自分が今どんな姿勢でいるのかを感じることが出来ていなかった。 絶えず地面が揺れ、その場に這っていることすら出来ず、周囲から見れば無様に身じろぎしているようにしか映っていない。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加