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「甲賀は…伊賀と一緒に風魔も潰す気だ。」
「な…んだと!?」
「俺達の間には昔から交流があるからな。伊賀が風魔に助力を求めると予想してたんだろう。」
まさかそんな事実があったとは思わず、驚く葵。彼女のそんな反応を予想していたのか、隼人は苦笑いを浮かべた。
「寝耳に水…だったか?驚く話はまだあるぞ。甲賀は俺達伊賀の持つ『紅榴の瞳』と、お前達風魔の持つ『翡翠の涙』を手に入れようとしている。」
「それは…本当か?」
隼人が口にした『翡翠の涙』とは、風魔の里に伝わる宝玉の事だ。言い伝えによると、使いようによっては世界を救うも破壊するも自由になるほどの力が宿っているらしい。
「その話が真実であるなら、我ら風魔にとっても由々しき事態だが…。」
「今すぐ結論を出せとは言わない。伊賀に手を貸すか否かはよく考えてくれ。」
そう言って立ち上がる隼人の背中を、葵は何も言わずに見つめている。隼人は葵を振り返らずに言葉を発した。
「まぁ、例え風魔が手を貸してくれなくても、甲賀が風魔に危害を加えるってんなら…俺はお前を守ってやるよ。」
「隼人…お前、あの約束を?」
「忘れるはずないだろ。そのために強くなったんだからな…。」
そんな隼人の言葉に、遠い日の記憶が蘇ってきた。
あれは、葵の父がまだ生きていた頃の話…。
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