12人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、葵は里に残っていた忍を全員集め、伊賀と共闘する事や甲賀は風魔の秘宝『翡翠の涙』を狙っている事、全てを包み隠さずに話した。
葵は自分の傍らに控える焔に問う。
「私の判断は軽率だと思うか?」
突然の葵からの問いに焔は一瞬戸惑うような表情を見せたが、彼はきっぱりとこう答えた。
「いえ。風魔の里と秘宝を守るためには適切な判断かと…。」
他の忍も焔の意見に賛同しているようで、異議を唱える者は誰一人としていなかった。その様子に葵は内心ホッとした。
話し合いが終わり、葵・隼人・水蓮・焔の四人は奥の座敷で卓を囲みながら茶の湯を楽しんでいる。
「…そう言えば!!半蔵様に聞きたい事があったんだよ。」
「俺に!?」
何かを思い出したように声を上げた水蓮。茶菓子の羊羮を皿に戻すと身を乗り出すようにして隼人に問いかけた。
「あたしらが鷲峰って奴の護衛の仕事してた時なんだけど、伊賀の忍がうちらの依頼主を襲ってさ。あれってやっぱり…鷲峰は甲賀の関係者だったからかい?」
「あぁ、その事か。それなら本人も同席させた方がいいだろうな。…東雲(しののめ)!!いるんだろ?」
水蓮の問いに答えずに隼人が誰かに呼び掛けた。すると音もなく庭に一人の忍が現れた。
「お呼びですか?」
「あぁっ!!あんた、あの時の。」
男の顔を見た葵と水蓮が驚いた。東雲と呼ばれたその男は、鷲峰邸で会った黒ずくめの男だったからだ。
「あの時は失礼いたしました。」
「お前達の予想通り、鷲峰は甲賀と裏で繋がってるんだよ。水面下で怪しげな実験だか何かをしてるらしくて、俺がいろいろ探って来るように東雲を派遣したんだ。」
それを聞いて納得がいったのか、水蓮は座り直して再び羊羮を手に取ると茶をすすった。
最初のコメントを投稿しよう!