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窓際に座っていた女性…名を如月葵(きさらぎあおい)という。そして、ここは風魔忍者の隠れ里。彼女はこの里を治める長であり、風魔忍の頭領だ。
渚が来客を通したという部屋に到着すると、スーツを来た中年の男性が居心地悪そうに座っている。
葵はそれを一瞥し、上座に敷かれた座布団の上に座った。
「お待たせしてしまってすまない。どういったご用件かお聞きしよう。」
事務的にサラリと言い放ち、向かい合って座っている相手の顔を見れば、明らかに落胆と驚きが入り交じった表情。
「私の顔が、そんなにお気に召さぬか?」
「いえ、風魔の頭領は風魔小太郎様と伺っていたのですが…。」
やはりそうか…と僅かにため息をつき、彼女はこめかみのあたりを押さえた。
風魔忍の頭領、風魔小太郎は誰が聞いても男の名だ。まさか女の葵が小太郎を名乗るとは思っていなかったのだろう。
しかし、依頼人のこういった反応はいつもの事。気を取り直したように顔を上げ、相手に告げる。
「風魔小太郎は風魔の頭領が代々受け継ぐ名だ。当代の頭領は間違いなく私。ご安心めされよ。」
「し…失礼致しました。では、早速依頼のお話をさせていただきます。」
忍とは、様々な依頼を受けて動く影の存在。その内容は様々で、諜報活動のような非戦闘的な事から暗殺や護衛といった危険な仕事もこなす。
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