1.災いの予兆

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  探索の結果、鷲峰の周りは敵だらけだという事がわかった。 自分の会社を大きくするためにライバル会社を倒産に追い込んだり、企業スパイを使って金になりそうな技術を盗んだり…聞いているだけでうんざりするような内容ばかり。 「…自業自得か。狙われても文句は言えないようだな。」 「笑っちまうだろ?」 嘲笑を浮かべる葵と、苦笑を浮かべる水蓮。十日ほど側で護衛の仕事をしてきたが、確かに何度か殺気を感じた事があった。それは鷲峰が命を狙われるほど誰かに憎まれている…という事を意味している。 「全く、仕事する気も萎えちまうよ。」 緩くウェーブがかかった茶色の髪を、指先でクルクルと弄びながら水蓮が言う。だが、仕事は仕事。気が乗らないなどと言っている場合ではない。 「耐えろ。契約終了まであと十日…それまでの辛抱だ。」 「あ~あ、早く里に帰ってのんびりしたいもんだねぇ。」 「全くだな。」 お互いに苦笑を浮かべ顔を見合わせると、どちらともなく軽い溜め息をついた。 その日の夜、事件は起きた…。  
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