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「で、どんな任務なんだい?」
まるで気を取り直すかのように明るい声で愁に問う水蓮。すると、今まで優しげに笑っていた愁の顔から笑みが消え『風魔小太郎』としての彼の言葉が。
「この里山の奥に、小さな社がある事はお前も知っているな?今回の任務はその社の調査だ。最近その社の周辺で不可解な事が起きている。それを探って来い。」
「はいよ!それじゃ、さっさと行って片付けて来ようかね。」
任務の内容も聞いた事だし…と水蓮が立ちあがると、付け加えるように愁の一言。
「黒曜、目付役としてお前も同行しろ。」
「かしこまりました…。行くぞ、水蓮。」
「へ!?あぁ、はい。」
まさか自分達に黒曜が同行するなどとは予想だにしていなかった彼女は、思わず上ずった声で返事をしてしまう。
黒曜に伴われて部屋を出て行くくの一を見届けると、愁は庭を見つめてようやく表情を緩めた。
「上手くいけばよいが…。」
彼の胸の内を表しているかのように、空には重苦しい雲が立ち込めていた…。
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