0話~誰か嘘だと言ってくれ~

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馬鹿馬鹿しいと思うか? 目の前のちんちくりんは言葉を話せる。 だったらそれが人間でないわけがあるかと、そう思うかもしれないな。 少し前の俺なら、間違いなくそう思ったね。 こんなちんちくりんを指して人間じゃないなんて口にするような輩がいたら、気の毒に思っただろうよ。 けどな、今の俺はそうは思わない。 いや、思えない。 根本的に違うんだ。 雰囲気じゃない。 見た目でもない。 俺と、目の前の少女は、"対極に位置するモノだと魂が理解している" 陽と陰、白と黒、光と闇、生と死。 どっちがどっちかなんて語るまでもないだろう。 俺が生きてるならコイツは死人だ。 俺が人間なら、対極に位置するコイツは人間じゃあない。 コレは、そう言うモノなのだと、当たり前のように俺は理解していた。 「どうした、なぜ呆けておるのじゃ?」 不遜な態度だ。 此処がどこだか分かってんのか? 俺の家だ。 んでもって、"俺はトイレのドアを開けたまま突っ立っている" 今から何をしようとしていたか、語る必要は皆無だな。 トイレの使用用途なんて二つしかない。 基本的にその二つは同じで、違いなんて大か小かの差だ。 ちなみに今回は小。 トイレを開いた瞬間、座敷わらしがごとく便器の上にいたこのちんちくりんのせいで危うく生涯の汚点を新しく刻む所だった。
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