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一瞬、親父が怪訝そうな顔をする。
が、直ぐに理解したらしい。
「そいつは悪かった。さっきまで母さんが見てたドラマで良いんだな?」
「あぁ、悪いな。」
親父とお袋に赤羽達の事は詳しく説明済みだ。
それぞれの名前、性格、見た目等々。
契約しちまったってぶっちゃけて、卒倒しかけた親父が我に返ると事細かに聞いてきたからな。
お袋も親父も、すげぇ驚いていたし、熱心に死神達の事を理解しようと努力していた。
俺は2日で4人しか名前を覚えられなかったのに、二人はその日の内に全員の名前と外見を覚えちまったくらいだ。
とにもかくにも親父はリモコンを手に取り、チャンネルを変える。
「おお~っ!!」
折椿の輝く笑顔は必見だな。
悪いとは思うがあんまりにも子供っぽい歓喜の表情だったんで、笑っちまった。
つうかそんなに面白い番組なのか?
お袋は飽きたらしいが、画面に食い入る折椿があんまりにも真剣だったので、俺はしばらく見てみる事にした。
内容は良くあるサスペンスだな。
主人公が殺人事件の現場に遭遇し、刑事達に鬱陶しがられながらも首を突っ込みまくる、あのタイプ。
物語は完全に終盤のようで、定番過ぎるほど定番な事に海岸沿いの崖で犯人と対話中だ。
事の経緯を全く知らない俺は、
「……つまんねえ……」
視聴3分でそう結論付けた。
つか誰が殺されたのか知らねぇし。
犯人の言い分を聞いても同情出来ん。
見てるのも馬鹿馬鹿しくなって来たので、お袋が上がってたら風呂にでも入ろうかと考えながらテレビに背を向けると、
「薫。少し話がある。良いか?」
親父に呼び止められた。
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