3話~ある日の晩の黒祷家~

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ちなみに俺は親父よりかは出来る自信があるが、めんどくさいから嫌だ。 「母さんもあれでいて文才無いからな……」 おお、問題発言。 後でお袋にチクってやろ。 「第一、俺や母さんには赤羽様達が見えん。記女を招くのが一番効率が良いんだよ。」 なるほどね……。 やっぱり、これまで通りって訳にはいかねぇか。 赤羽達と契約したことで、少なからず周りに変化が起きちまう。 「いつになるかはまだ検討中だがな。だからと言ってそう遠くない話だ。納得してくれるか?」 「原因は俺なんだ。納得も何も文句言えねえだろ。」 つうか記女って言うくらいだから女なんだろうな……出来ればおばさんとかが来てくれると変に意識しなくて助かるんだが……。 「話はこれで全部だ。悪かったな、引き止めて。」 そう言って、親父は立ち上がる。 「………行くのか?」 時計を見れば、八時になる五分前。 親父からすれば、"頃合いだった" 「ああ。俺に丑三つ時に騒ぐ連中は手に負えないからな。」 夜を重ねすぎると、妖魔は活性化してしまう。 例え低俗であっても、丑三つ時に近付けば近付くほど親父には辛い相手に変貌しちまうんだ。 余談だが、大禍時(おおまがとき)とされる夕暮れ……昼と夜の変わり目も妖魔は活性化する。 変わり目ってのは入れ代わりを意味し、その時間帯はあの世とこの世が最も近付き、境界線は曖昧になるんだ。 この世ならざる者である妖魔からすれば、居るべき場所である筈のあの世が近付けば動きやすくなるのは当然だよな。 知ったかぶって説明したが、もちろんこれも親父から聞いた話だ。
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