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「夢見すぎだっつの。」
「そうかい?私はそうは思わないけどね。」
そう言いながら折椿はクスクス笑う。
「…………………………………………………………………………………まぁ…………努力はしてみる。」
「そうしておくれ。」
「あら薫、此処にいたの?」
と、ほくほく顔のお袋が居間に顔を出した。
「お風呂空いたから、入ったら?」
「…………そうだな。そうさせてもらう。」
宴に出向く前にさっぱりしたいからな。
「満喫してきなよ。」
折椿の言葉に、軽く手を上げて応えた。
「どなたかいらっしゃるの?」
「折椿がいるよ。」
「まぁ、折椿様が?テレビはつけっぱなしの方が良い?」
「どうする、折椿。」
「良いのか?なら、九時からのドラマが見たい!」
またドラマかよ。
「つけっぱなしにしてくれとさ。九時からドラマが見たいんだと。」
「九時からの……あぁ、あのドラマね。私も見ようかな。」
「…………薫。」
なんだ?
急に折椿の声が低くなったぞ。
「藤乃に伝えてくれ。飽きても絶対にチャンネルは回すなと。」
「……………へいへい。」
「なに?折椿様は何ておっしゃっているの?」
ほんとに、俺にこいつら使役出来んのかな……。
俺の深いため息が居間に溶けゆく、ある日の晩の黒祷家だった。
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