3話~ある日の晩の黒祷家~

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「夢見すぎだっつの。」 「そうかい?私はそうは思わないけどね。」 そう言いながら折椿はクスクス笑う。 「…………………………………………………………………………………まぁ…………努力はしてみる。」 「そうしておくれ。」 「あら薫、此処にいたの?」 と、ほくほく顔のお袋が居間に顔を出した。 「お風呂空いたから、入ったら?」 「…………そうだな。そうさせてもらう。」 宴に出向く前にさっぱりしたいからな。 「満喫してきなよ。」 折椿の言葉に、軽く手を上げて応えた。 「どなたかいらっしゃるの?」 「折椿がいるよ。」 「まぁ、折椿様が?テレビはつけっぱなしの方が良い?」 「どうする、折椿。」 「良いのか?なら、九時からのドラマが見たい!」 またドラマかよ。 「つけっぱなしにしてくれとさ。九時からドラマが見たいんだと。」 「九時からの……あぁ、あのドラマね。私も見ようかな。」 「…………薫。」 なんだ? 急に折椿の声が低くなったぞ。 「藤乃に伝えてくれ。飽きても絶対にチャンネルは回すなと。」 「……………へいへい。」 「なに?折椿様は何ておっしゃっているの?」 ほんとに、俺にこいつら使役出来んのかな……。 俺の深いため息が居間に溶けゆく、ある日の晩の黒祷家だった。
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