4話~"千" 前編~

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 今日も今日とてやることは変わらない。 朝起きて、寝ぼけ眼で登校し、睡魔と戦いながら授業を受け、我先にと帰宅して、多少の仮眠をとり、そして………宴に向かう。 丑三つ時の午前二時。 毎晩よくもまぁこれだけ集うもんだと思う程に集まり騒ぐ連中を見据えるのは俺と、赤羽達だ。 場所はもちろん、妖魔達の台座と化す広大な池。 ここ数日の間に調べてみたら、この池はヨモノカムナギノミコト……通称、黄泉池(よみいけ)と言うらしい。 つうか、思いっきり神名を冠してやがった。 ヨモノカムナギノミコトは、漢字に直すと黄泉之神流戯之命になる。 つまりは黄泉の国に属する、神流戯の神様って訳だ。 命ってのは神号で、すなわち御事。 何かしらの命令を受けた神って意味になる。 何の命令かは分かるだろ? "良くないモンばかりを集めるように命じられてんのさ" 誰にかは知らねえけどな。 五行で陰とされる池に、黄泉の国の名前を付けるとか正気じゃねぇっての。 おまけに鬼門と裏鬼門に繋がってるんだぞ? 現在進行形で色々と調べてるんだが、調べれば調べる程に埃が出てくるもんだからたまったもんじゃない。 「けどもまぁ……ここ数日は九十九神ばっかだから助かるよな。魑魅魍魎すらまだお目にかかってねぇし。」 いつ何時、どんなヤバいもんが集まるか分かったもんじゃないが、少なくともこの数日は平凡だった。 数だけ見れば黄泉池には毎晩数千単位で集まってきてはいるが、例外なく全て九十九神だ。 赤羽達ならものの数分で排除出来ちまう。
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