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いや正直、数千の人外を前に平凡だと言える自分の順応性は異常だと思うけどな。
ついこの前まで幽霊すらまともに見えなかったのが嘘みたいだ。
「つうかさ、こんだけヤバい池が中心にある割に、この町って幽霊少ないよな。学校に通ってても殆ど見かけねぇし。」
「他の一族が駆除してるからじゃろうよ。現頭首も毎晩頑張っておるではないか。」
そうか……黒祷家みたいな家は他にもあるからな……そいつらと親父が頑張ってるから、あんまり見ないのか。
「俺はこの池だけしか頭になかったけど、他の連中は町全体に目を向けてるんだな……」
「当然じゃ。」
飄々としてるが、きちんと親父もやることやってんだな。
「ワシ等も負けらてれぬぞ、頭領。」
………そうだな。
俺は気持ちを切り替えてから気合いを入れ直し、赤羽達に目を向ける。
各々、準備は万全のようで、早く命を出せと言わんばかりの視線を向けている。
「先陣きりたいヤツいるか?」
『はいっ!!』
全員かよ。
「あ~………聞いておいてなんなんだが……悪い、高茜は無理だ。」
「……戦力外宣告されたっ!!」
ちげえよお前の武器は弓だろうが。
「弓一つでアイツ等相手にどう立ち回るんだよ?」
俺は顎で黄泉池を指す。
数日ですっかり見慣れた光の壁が浮いていて、言うまでもなく九十九神が密集して出来上がった壁だ。
「矢なら沢山ありますよ?」
「なら討ち漏らしの掃討は楽勝だな。」
「あぅ……またみんなのお尻拭き……」
死神がお尻とか言うんじゃありません。
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