0話~誰か嘘だと言ってくれ~

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そこで登場するのが、俺のご先祖様。 なんでも凄まじい力をお持ちだったらしく(ここだけ親父が熱弁だった)、ある者達との交渉に成功した。 それは漆黒纏う、八人の強靭な神様だったらしい。 交渉に成功したご先祖様は、漆黒の神々と共に魑魅魍魎、百鬼夜行の群れ、そして神々との闘争を悉く制したのだとさ。 生前の武勇伝は数えきれず、それを語る親父の口は止まらず、当時の俺はテンション下がりまくったので良く覚えてない。 兎にも角にも、そんなご先祖様を持つ俺の家系は、代々その手の仕事を今も変わらず続けている。 別に金を貰ってお祓いや除霊をする訳じゃなく、人知れず駆除しているだけだ。 力は代を重ねる事に弱まっていき、親父も頑張って悪霊一匹、俺に至っては見えない時の方が多い。 衰退と言うのもおこがましいくらいの廃れ具合だ。 黒祷のような境遇の一族は他にもこの町に居るが、そちらは弱まる事無くいるそうだ。 以上、神流戯町と黒祷に関する説明は終了。 場面はようやく、俺の部屋へと変わる。 「んで……結局アンタは何なんだ?どうして俺には見えんのに、親父には見えないんだよ?」 部屋の中には俺とちんちくりん……もとい、紅羽だけ。どちらも座らず、立ったままの対話だ。 別に部屋が汚くて座れないわけじゃない。 俺はいつでも動けるように座らないんだ。 ついさっき首を食いちぎられかけたからな。 油断なんか出来るか。 「見えるわけないじゃろう。アヤツの力は弱すぎる。」 「だったらなおさらおかしいっつの。俺は親父よりも更に力が弱いんだよ。親父に見えないのに俺に見えるわけがない。」 「先祖がえりって知っとるか?」 「隔世遺伝の事か?」 「ワシはそんなの知らん。が、多分同じ意味じゃな。主は、黒刀 宗秋の力を引き継いでおる。」 「誰だ?」 素直に聞いたら紅羽が目を剥いた。 「主の祖じゃ。知らんのか?」 「あぁ、あの偉業ばかりのすげぇ人か。名前とか興味ないから知らなかった。」 「バチあたりめが……」
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