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そこで登場するのが、俺のご先祖様。
なんでも凄まじい力をお持ちだったらしく(ここだけ親父が熱弁だった)、ある者達との交渉に成功した。
それは漆黒纏う、八人の強靭な神様だったらしい。
交渉に成功したご先祖様は、漆黒の神々と共に魑魅魍魎、百鬼夜行の群れ、そして神々との闘争を悉く制したのだとさ。
生前の武勇伝は数えきれず、それを語る親父の口は止まらず、当時の俺はテンション下がりまくったので良く覚えてない。
兎にも角にも、そんなご先祖様を持つ俺の家系は、代々その手の仕事を今も変わらず続けている。
別に金を貰ってお祓いや除霊をする訳じゃなく、人知れず駆除しているだけだ。
力は代を重ねる事に弱まっていき、親父も頑張って悪霊一匹、俺に至っては見えない時の方が多い。
衰退と言うのもおこがましいくらいの廃れ具合だ。
黒祷のような境遇の一族は他にもこの町に居るが、そちらは弱まる事無くいるそうだ。
以上、神流戯町と黒祷に関する説明は終了。
場面はようやく、俺の部屋へと変わる。
「んで……結局アンタは何なんだ?どうして俺には見えんのに、親父には見えないんだよ?」
部屋の中には俺とちんちくりん……もとい、紅羽だけ。どちらも座らず、立ったままの対話だ。
別に部屋が汚くて座れないわけじゃない。
俺はいつでも動けるように座らないんだ。
ついさっき首を食いちぎられかけたからな。
油断なんか出来るか。
「見えるわけないじゃろう。アヤツの力は弱すぎる。」
「だったらなおさらおかしいっつの。俺は親父よりも更に力が弱いんだよ。親父に見えないのに俺に見えるわけがない。」
「先祖がえりって知っとるか?」
「隔世遺伝の事か?」
「ワシはそんなの知らん。が、多分同じ意味じゃな。主は、黒刀 宗秋の力を引き継いでおる。」
「誰だ?」
素直に聞いたら紅羽が目を剥いた。
「主の祖じゃ。知らんのか?」
「あぁ、あの偉業ばかりのすげぇ人か。名前とか興味ないから知らなかった。」
「バチあたりめが……」
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