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「つか業績ばっか聞くからな。名前なんて霞んじまうんだよ。」
「………嘆かわしい限りじゃのう……」
「なんでだよ?」
「宗秋はワシらの契約者じゃった。アヤツの最後を見届けたのも、他ならぬワシらじゃ。」
は?
まて、それってつまりあれか?
こいつが、漆黒纏う神達の一人っつう事か?
だとしたらこのちんちくりんは、"とんでもない危険物"だ。
神ってのは、人の信仰によって何処までも力を増すことが出来る。
いや、このご時世だ。
信仰なんざもはや必要ない。
何しろ誰も本気で神なんてものを信じちゃいないからな。
自身の身に余る幸運の事象、自己の理解範疇を超えた事柄を人は奇跡と呼び、その感謝の念を都合の良い"神と呼ばれし空想に押し付ける"
心の底から神を語る人間なんて一握りさ。
大抵は喜怒哀楽のやり場が無いときに神の名は利用される。
故に、今や神の力の根源はその"知名度"だ。
どれだけの人間がその名を知っているかに尽きる。
漆黒纏う神々は、なんて語り継がれてると思う?
その力……魑魅魍魎を塵を払うように葬り、百鬼夜行の群れを悉く蹴散らし、神を相手にさえ勝利を手にしてきた。
黒刀に仕える、全てにおいて勝ち続けた神々。
言い換えれば、"等しく死を与えし神"
もう分かるだろ?
死神として、漆黒纏う神々は語り継がれているんだ。
知名度なんざ考えたくもないね。
極上の危険物だろ?
なんつったって等しく死を与えしもの。
このちんちくりん一人で、どれだけの悪鬼羅刹が死ぬのやら。
「おまえ………死神かよ……」
「そうじゃな。今も昔も、そう呼ばれておる。」
本人がそう言う以上、疑うつもりはない。
だが、ガキの頃に親父に言われた事がある。
「漆黒纏う神々は、ご先祖様の死と共に姿を消したって……聞いてたんだが……」
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