マダオ

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昨日は賑やかな夜だった あいつらと過ごしてまともな日があったか ─ないな マダオ「あ、いらっしゃいませ!」 今はコンビニでバイトしている 自動ドアが開くのを見て反射的に言葉がでる お客様に対する挨拶は笑顔で大きな声で 「あの、すいません」 入ってきたお客さんは聞いてきた 「そば食べたいんですけど。どうしてくれるんですか」 …は? 知らねーよ!なんだよこの客! なんか見たことあるなこいつ 後ろにいるペンギンみたいな奴も見たことがある 「そば作ってください」 なに言ってんだよこいつ でも失礼な態度はとれない なんとかしよう マダオ「おそばでしたら、あちらに緑のたぬきがありますよ!」 「たぬき?食わねーよそんなもんボケ!!通りであなたたぬきみたいな顔してる訳だ!!」 カップ麺がダメなのか たぬきそばがダメなのか マダオ「たぬきそばはお気に召しませんか。ならあちらのざるそばはどうですか?」 「ざる?貴様いい加減にしろよ!!悪趣味な奴だ全く。成敗してやれエリザベス」 その客はエリザベスという生き物に話し掛けている だがそのエリザベスという生き物は何の反応も起こさない 「はは。お前優しくなったなエリザベス」 いや完全に無視されてるだろ 無理に会話してる感じにしてるよこの人 「とにかく、俺は猿とか狸とかそんな愛らしい生き物食べる程残忍ではない」 え?なんて言った? こいつ今とんでもないこと言ったよな? 「言っとくが、そんなん食ってるのお前だけだからな。自分の常識を他人に押し付けるのもいただけん。店員失格だ。」 お前は人間失格だ 「もうここで"んまい棒"を買うこともない。グッバイフォーエバーだ。帰るぞエリザベス」 むしろありがたい もう来ないでくれ 客はでていった なのにエリザベスという生き物は残っている じーっとこちらを見つめている すると突然、看板を見せてきた その看板にはこう書かれていた 「迷惑かけてごめんね」 俺がきょとんとしているとエリザベスは看板を反した そこにはまた違うメッセージが綴られていた 「頑張ってね長谷川さん」 …へへ …ありがとうよ エリザベスは店をでていく 俺は精一杯の感謝を込めて言った エリザベスとかいったな─ マダオ「またお越し下さい!」
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