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私とエストが、恋人ではないにしろ、何か特別なものがあるということを…
「セラ、それでエストはどこにいる」
「うん、エストお兄ちゃんなら、ここら辺を巡回したらまた来るから、それまで安静にって♪」
「…なぜ嬉しそうなんだ。」
「え、いや何でもないよ!」
じゃあ何か簡単なものつくってくるね、と告げて、セラが部屋から出ていく。
一人になった部屋で、先ほどの夢を振りかえる。
あのときは、起きたらエストがいた。
心配そうにこちらをずっと見ていて、その瞳は不安で揺れていた。
『大丈夫か?』
『…ここは?』
『俺の家だよ。…、良かった。』
『え?』
『急に倒れるんだもん。びっくりしたよ。でも、無事で良かった。』
その時の笑顔が今でも忘れられない。
『…///』
あの時、なぜ自分が赤面したのか全くわからなかったが、今ならわかる。
「好き…か…、」
しかも、どうしよもなく好きだ。
振り回されているのは承知の上で、それで尚好きなのだから…
「末期だ…」
「何がだ?」
「だから…、!?エスト!?」
よう、と片手を挙げて挨拶をするのは、私がどうしよもなく好きな相手だった。
今はガチガチの暑苦しい軍服ではなく、一枚のタンクトップだけを着ている。
「どうよ、調子は」
私が腰かけているソファの隣に、了承も得ずにどっかり腰かける。
「見ての通りだ。」
「あ、そ。ならまだ寝てろ。」
エストはライトニングの手を掴み、ソファに寝かしつけようとする。
「ちょっと…、待て!!」
「ん?」
「言っただろう?もう大丈夫だ!!」
「いや、ダメだね。」
「なぜだ!顔色が悪いわけではないだろう!?」
「昔、そんなこと言って外に出た瞬間、倒れたのはどこのどいつだ?」
「う゛…」
こいつ、覚えていたのか…
あのあと、いつまでも人の家にいるのは申し訳がなくて、体調が良くなったと言って、外に出た。
しかし、外は相変わらずの炎天下で…
まだ万全じゃなかった私はまた倒れ、エストにお世話になったのだ。
「な?だから、ゆっくり休んどけ。」
ニコリと笑う。
その顔は、反則だ。
お言葉に甘えて、再び眠りにつこうとしたのに…
体温が急上昇した。
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