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「なぁ、なぜなんだ。」
と、ソファに座り込みながら言うものだから、ついついため息をついた。
「そりゃそうでしょ?ホープ君は小さいしサッズのとっつぁんは子持ち。スノウ君も一応恋人いるし…」
しかもお前の妹、と続ける。
「私が言いたいのはそういうことじゃない!なぜ軍のパーティーとやらに私が…、凡下級兵が参加しなければならないのだ!!」
すごい険相でこちらを睨む。
しかし、馴れた様子のエストは、ひょうひょうとした態度で、
「─…、不満はそっち?」
と、問う。
ライトニングはなかなか答えがでないせいか、イライラが募るばかり。
ついでにここは、代々軍に多大なる融資を送り、下界からの攻撃の際にも活躍した、名門貴族のお屋敷の客間室。
「なぜ私が…」
ライトニングの怒りは、ここに来るころから始まった。
突然、任務中に正装をした、つまり軍服のエストが来訪した。
もちろん、わけあって同居していることは内緒で、表の関係は上司と部下である。
そして、上司・エストは言った。
「ファロン少佐をもらい受ける。依存はないな?」
言うが早い、さっさと私の手を掴み、唖然とする直属の上司や部下を置いて、さっさと車に乗り込む。
その際、周りの女から黄色い声と、私を批難する声が聞こえたような気がしたが、気のせいだと思う。
「で、ここに連れてこられてドレスアップをして現在に至るんだ。」
「説明乙」
「だから!!なぜ私なんだ!!どうせお前が私を推薦したのだろう!?」
「ああ、その通りだ。」
「………」
苛つく…、殴りたい…
のを抑えて、極めて冷静に尋ねる。
「お前はどうして、私をここに連れてきた?」
「ちょうどいいところにいたから」
「何をさせたい?」
「パーチーのお相手役」
「…私じゃなくても「お前じゃないと意味がない。」
「……!?」
遮られた言葉に含まれる意味を、瞬時に理解できず、キョトンとするライトニング。
「どういう…ことだ?」
意味が理解できたのか、身動ぎをする。
「そういうことですよ。マイスウィートハニー?」
ウェーブのかかった髪をとり、口づけを落とす。
あまりにも近いその距離に、思わず息を飲む。
近ければ近いほどわかる、顔立ちの良さ。
なぜ彼がモテるのか、わかってはいたけど、再確認する。
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