始まり

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「もしもし、珠恵か?」 「なに?兄さん、私、今手が離せないの!」 珠恵は、携帯電話を片手に車を運転をしていた。 「直ぐに終わるから、お前、か~さんの身体の事を知っていたのか?」 「ちょっと待って、車を停めるから…」そう言って、珠恵は車を脇に停めた。 「兄さん知らなかったの? かあ~さんの事」 「知らなかったわ!末期癌だなんて…」お前は、知ってて、そんな態度なのか?それと、なぜ、俺に連絡しなかったんだ!」 「ち、ちょっと待ってよ!何を話してるの?癌だなんて… それも、末期癌? 意味が解らないよ~私が、知っているのは、体調がすぐれないけど、たいした事無い!としか。 だから、兄さんに連絡をしなかったんだから… 兄さん、その話をどこで聞いたの?」 「病院から! 電話があったんだ。入院の話で」 「なんて?病院は」 「本人に、入院の事を伝えているんだけど、一行に返事が無いから。 病気の事は伝えて無いらしい~ それで、病院は何度か、お前や俺に電話をしてたらしいけど、繋がらなくて…」 「あ、そう言えば…何度か、着信があった… 間違いか、いたずらと思ってたわ」 「そんな事は、どうでもいいから! どうするつもりなんだ?」 「どうする?て、どうもこうもないでしょ!入院させないと」 「それは、解ってる事! その事じゃなく、俺もお前も、か~さんの近くに居ないじゃないか? どうやって、看護をするつもりなんだよ? 俺も、お前も県外だろ…」 「そんな事より、先は入院だよ。それから先を考えましょ~。今夜、帰れる?」 「なんとか、帰れる手段を考える!遅くなるけど…」 「解ったわ!詳しく話は、その時に」
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