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「じっとしてろよアリス」
「?」
チェシャ猫の顔が思ったより近くに来たのに身を固くする。
僕が緊張したのが伝わったのかチェシャ猫は小さく笑うと、先ほどの青い布を取り出した。
「これを付けないと『アリス』にはなれないからな…」
そう言いながらチェシャ猫は、僕の頭にカチューシャのように巻いて首の後ろで下向きにリボンを作った。
リボンの余り部分が僕の背中にかかる。
僕は何もできなくてされるがままになってしまっていた。
「あの…これ……」
女の子みたいなんですけど、という前にチェシャ猫が満足そうに鼻を鳴らして腕を組んだ。
「うん、これで『アリス』らしくなったな!」
「えっと………これ、意味あるんですか?」
「何言ってんだ。大有りだ!それがなきゃ、お前は『アリス』として物語を進められないんだぜ?そうしなくちゃ、物語は終わらないし帰ることもできない」
「そ、それは…!」
チェシャ猫曰わく、このリボンは非常に重要らしい。
確かに原作でもアリスはカチューシャをしていたし、何より、これをしないと家に帰れないってことはかなりマズい。
恥ずかしいがここは致し方ないようだ。
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