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お茶会の席に座り、僕は詳しい話をされた。
要約するとこういうことらしい。
僕は『フシギの国』の『アリス』である。
ただし、フシギの国は『不思議の国』ではない。
だから話は僕の知っているものとは多少(大分?)異なる。
青いリボン、通称『アリスの落とし物』を肌身離さず付けていなくては『アリス』と認められず物語は進まない、もちろん完結もしない。
したがって家にも帰れない。
「じゃあ、物語が完結すればいいんだよね?」
「そう言うことになるな。だからさっそく…マッドハッター、あれを」
「うん…はい、アリス。これが君の武器だ」
マッドハッターに促されるままに両手を前に出すと、何か重くて細長いものが置かれた。
「えっとぉ…これは、レイピア…だよね?」
「そうだよ」
「なぜ、必要なんでしょうか?」
「ハートの女王を倒しに行くからさ」
僕が困惑した表情で口元をヒクつかせながら問うと、チェシャ猫が爽やかにしかし気味悪く笑った。
スゴく矛盾した笑い方をしている。
「悪政を敷くハートの女王をぶっ倒すのが俺らの役目、つまり物語なんだぜ、アリス」
「いやいやいや、あり得ないでしょ」
僕は激しく頭を振った。
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