5人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
本日は晴天。
暑くも寒くもない。
読書には打って付けの日和だ。
と言うわけで僕は、先程から中庭にある木の下で読書に耽っている。
読んでいるのはもちろん、『不思議の国のアリス』である。
僕の大好きな童話だ。
幼い頃から何度も繰り返し読んできたから、本の表紙はすっかりくたびれている。
「それにしてもいい天気だなぁ…ふわぁ……」
僕は一つ大きく伸びをする。
物語はアリスがいつまでも終わらないお茶会に加わろうとしている場面であった。
こんなお茶会に自分も参加してみたい、そう思っていた時期もあった。
今ではさすがにそんな事は思わないけど、それでも僕の『アリス』に対する憧れは薄れていない。
「少しだけ眠ろうかな…」
本に栞を挟み、僕は幹に寄りかかると目を閉じた。
頬を掠める風が気持ちいい。
だいぶ眠かったらしく、僕の意識はあっという間に深い夢の中に落ちていった。
最初のコメントを投稿しよう!