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「アリス探したぜ!」
「はい?」
振り向いた先にいたのは、僕より頭一つ分は大きい青紫色の髪をした美形と分類される青年だった。
ワイシャツの上にパーカーを羽織って茶色の縞模様のしっぽをふりふりと振り、僕を見下ろしている。
顔はなぜかニタニタと笑っていた。
「…人違いではありませんか?」
僕は首を傾げて青年を見上げる。
青年の笑い顔がなぜだがチェシャ猫のように見えるのは、僕が『アリス』を愛しているからなのか。
「人違いなもんか。…まぁ正確にはまだアリスじゃないけどな」
「はぁ!?」
青年はなにやらガサガサとフードの中を後ろ手に探ると青い布を取り出した。
「これは『アリス』の落とし物だ。これを付けないとお前は『アリス』にはなれない」
「ちょ、ちょっと待ってください!どういうことなんですか!?意味が分からない…!」
青年が近付いてきて僕の頭に青い布を巻こうとする。
僕は慌てて青年から離れると、状況を飲み込めないのを青年に説明した。
「なんだ、アリス。何も知らないでここに来たのかよ?」
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