3人が本棚に入れています
本棚に追加
無機質な読経の声が響く。
聞いているうちに、僕の思考も、だんだんとフィルムみたいに薄く、無機質なものになっていく。
こういう場では女子は泣くものだと思っていたけど、案外と、そうでもないらしい。
関わり合いがなかったからか……そう思うと、やり切れなさが沸いてきた。
かと言って、普段彼女のことにまるで無関心だった女子が泣いていたら、僕はきっと、どこか白けた気分になっていただろうと思うけど。
こんな場所に来てまで、そんなことを考えている自分の人間性の底の浅さに、皮肉めいたものを感じずにはいられなかった。
そして、薄っぺらい人間性の僕が、彼女の棺桶に花を手向けるという役割を与えられていることにも。
最初のコメントを投稿しよう!