僕と、どこにもいない誰かの物語。

僕の話

　
　彼女が死んだと聞かされた時、僕の心にまず浮かんだものは、

「やっぱりね」

　という、どこか冷めた、自分には関わりの無い災害のニュースを眺めているような、表情の無い感情だった。

　数瞬の後、無意識のうちに発生した自らの感情の波紋に気付いた僕は、自分がそんな風に考えてしまったことに動揺する。

　クラスメートが死んで、悲しむでも、我が耳を疑うでもなく、どこか納得してしまった自分が、僕は信じられなかった。