彼女の話

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   ぶつくさ文句を言いながら、クラスの係一覧及びその担当者が書かれた黒板に目をやると、僕の名前の隣に、身に覚えのない名前が書かれている。  この一週間で大体クラスメートの名前と顔は覚えたつもりだったんだけどな、と思いながら、まだ出席番号順で並んでいる机を見渡して名前の主を探す。  いた。  一週間経っても話している所を見たことがない、新しいクラスに馴染めていない、というか馴染もうしない彼女が、黙々と分厚い本を読んでいるのを発見した。  
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