僕の話

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   それにしたって、僕は彼女が自殺する予兆なんて感じちゃいなかったはずだ。彼女との、多くはない接点の中を探ってみたって、その痕跡は見つからない。 ―――そう思った時。 ―――――…ソ…キ……― ―――心の中で、誰かが何かを言った気がしたけれど、それはまだ驚き覚めやらぬクラスの喧騒に掻き回されて、僕の頭上の火災報知器の辺りを漂って消えてしまった。  
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