百歳塚(ももとせづか)

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 本当の笑顔…本当の笑顔がそこにある。混じり気のない…本当の笑顔。 「どすた~?」  私は泣いていた。 『人前で泣くなんて…』  でも、止まらない! 「くっ…うぅ」 「なしたぁ?なしたのぉ?」  おばあちゃんは私の背中をさすり、声をかけてくれた。 「わたし…わたし!」 「えぇからぁ~えぇ、えぇ」  私よりずっとずーと小さなおばあちゃんの、大きな大きな優しさが…心地よかった。  ほっ、としたのだ。  こういう感情のあらわし方を、ずっと忘れていた。いや、知らなかったのかも知れない…
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