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私たちがキスをしようとすると、急にノックがかかった。
「あ、はーいっ!」
慌ててドアを開けると着替え終わった先輩が立っていた。
「買い出しもあるしそろそろ行こうと思うんだけど、大丈夫か?」
「あ、大丈夫です。」
「よし、じゃあ行こうか。」
「はいっ。桃香、行こ?」
振り返り手を差し出すと、桃香はその手を握って笑顔で応えてくれた。それがたまらなく可愛く見えて思わず抱き寄せる。
「やばい……桃香、好き。」
「えっ、キョンちゃん?!」
そんな私の行動に驚いたのは桃香ともう一人……
「おい、坂内…元彼の前でさすがにそれはないんじゃないのか?」
私は声のする方へ顔だけ向ける。
「あ、先輩。居たんですか?」
「はぁ…ホント可愛くなくなったよ。」
そう言いながらも私と桃香を見ながら微笑んでくれる先輩は本当にいい人なんだと思う。
「ち、ちょっと、キョンちゃん…恥ずかしいから早く離してっ」
「えー?離れたくない。」
「っ……き、キョンちゃんのバカ!えっち!変態っ!」
そう言って突き飛ばされた。私は自然と先輩の胸に背中からもたれかかってしまう。
「あっ…すみません、先輩。」
「別にいいよ。」
支えてもらったことへ軽くお礼をすると、今度はグイッと引っ張られて先輩から離れる形になる。
驚いて桃香を見ると顔を真っ赤にしながらうつむいていた。
やっぱり桃香はかわいいと実感した瞬間だった。
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