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そして私は初登校の日を迎えた。
「というわけで、今日から同じクラスになる……」
「…坂内京子です。」
「みんな仲良くするようにー。」
「怖そー…」
「しーっ、聞こえちゃうよ!」
「でも、なんかヤバそうじゃない?」
「近寄りづらそー…」
いらっ…
(全部聞こえてるってーの!!)
先輩と連絡を取れないままの私は不機嫌さMAXのまま、初登校を迎えた。
(通学路まで圏外ってどーゆうことよ。)
そのうえ、通学片道30分。しかもほとんどが坂道や凸凹の道路。自転車ですら通えない。
(東京に帰りたいよぉ…)
「席は…そうだな、木下の隣…おい、木下!手を上げろ。」
「はい。」
(え…木下って……)
手を上げている少女は小さくて、あまりよく顔が見えないけど、木下って確か、桃香と同じ名前…
「坂内、今日からお前の席は木下の隣な。あそこ座れ。」
「え…あ、あぁ……はい。」
私は担任に指示された通り、手を上げている少女の隣の席へ向かう。
やっぱり…
そこに座る少女は私の仲良しだった桃香だった。
桃香は私のこと気づいてないのかな?
「えっと…よろしくね、坂内さん。」
「あぁ、こちらこ… 「あぁっっ!!!」
“こちらこそ”と笑顔で返そうとした言葉は木下さんの奇声でかき消されてしまう
「どーした、木下。」
「え、あ…いやっ…なんでもありません」
「そうかー。坂内は転校生で何かと不自由があるだろうから、しばらくみんなで面倒見てやれよー。」
(別にいらねーよ!)
「じゃ、今日のHRは終了する。」
担任がチャイムと同時に教室を出る。
その後ちらほらと周りの子が席を立ち、グループで集まりだす。
「ね、ねぇ…」
「ん…」
周りを観察していたら、一番に話しかけてきたのは隣の木下さん。
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