始まりの悪夢

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それは童話の世界だったが、暗く深く、淀んでいて、なぜかおどろおどろしい。 夢の中の俺は年老いた靴屋だ……。 童話で見たように、疲れきった俺が眠りに落ちる。 すると、どこから小人たちが現れ俺の仕事を手伝ってくれる。 しかし彼らが作り上げる靴はどこかいびつで、不気味だった。 しかもそのスピードは目まぐるしいほどに速い。 目の前には、誰の足にもあう筈のない変形した靴ばかりある。 靴は見る見る山のように積み上げられてゆく。 俺は彼らを止めようとするのだが、彼らは次第にどんどんと俺から遠ざかっていく。 異様な靴ばかりが俺の仕事場を埋め尽くす。 俺は睡魔と戦いながらも、なんとか彼らを止めようと奥へ奥へとすすんでゆく。 が、ついに眠り込んでしまう。 気が付くと彼らは奇声を上げながら俺に襲いかかって来るところだ。 そこで俺は振り上げた自分の右手が彼らによって不気味な靴へと縫い上げられていることを知る。 叫び声をあげようとするがその口もまた靴紐によって縫いつけられている。 逃げようにも両足や膝が床やソファに糸で固定され、穴がかりまでされているのだ。
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