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「君も好きなんだ、CG」
「結構マニアよ。アイポンも?」
「おうよ。今度のオタコン用に同人誌書こうと思ってんだけどね」
その言葉を聞いた途端、ミウの手は一瞬止まった。一瞬と書いたが、何秒間かは経っていたに違いない。
「(入れ込み方が違う……!)」
ミウは単純に、圧倒されていた。ミウもそれなりにゲームは好きな方だが、あくまで人並みなレベルだ。再び手を動かし、コントローラを見つけた彼女は、少し震える指でそれをセッティングしていた。
アイルが一旦プレイをセーブし、モードを切り替えている間、ミウは部屋を見渡していた。構成自体はシンプルで、あるのはベッドと机、本棚、テレビ、後はクローゼットぐらいしかない。
が、よく見てみると色々な意味で混沌としていた。本棚には、心理学や宗教的な本と漫画が同居しているし、パソコンのマウスパッドにはアニメのキャラらしき絵がプリントされ、テレビの上にはやたらファンシーなぬいぐるみが並んでおり、そして別の棚には……。
「ねえ、あの怪しげな物は何よ?」
「全年齢向けの小説でそれを聞くのか?」
至って淡々とそう言いながら、アイルは準備を完了させていた。ミウは自分の質問を後悔するように、呆れた表情を浮かべている。
「……けっこう家では堕落してんだね。キリッとして見えるのに」
「プライベートだからさ」
「答えになってない答えだね」
適当な会話と共に、対戦がスタートされた。二人の指が、一気に素早く動き始め、画面内のロボットは複雑に飛び回る。
「普段っていつもこんな?」
「仕事が来てない時はね。一回の料金が割とあるし、二人だけだし、何とか食えてるさ」
「へぇー」
ミウの操る細身の機体は、スピードを活かし相手を翻弄するタイプだった。ミウも慣れた風に、アイル機の背後を取り、攻撃を加えている。
「尋ねるけども、探偵ってどんな仕事だと思う?」
「え?」
しかしアイルは、トリッキーな強化を施された機体を使っていた。素早いターンで捕捉から抜け、逆に反撃を加える。当のアイルは、涼しい顔をしていた。
「えと、浮気調査……とか?」
「まあ普通、まずそんなんが浮かぶだろうよな」
少し考えたせいか、ミウの操作が若干甘くなった。それを狙ってか狙わずか、アイルは言葉を続けつつ、ラッシュをかける。
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