1:Run fast in the Main Street.

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 そうして、再び二人は横並びになって歩き出す。  ミウは自転車を起こし、猫を元通りに乗せていた。だが、アイルの目に関しては何も言わなかった。黙って、見知った道を進んでゆく。 「……あ、向こう、あたしの家です」 「ホント?すっごい近くよ」  少し歩いたところで、自宅を見つけたミウは指を差していた。見知ったどころではない、毎日通る道に差し掛かっていたのだ。そして、アイルの家もその近くだと言う。  二人は通りを抜け、交差点で折れる。結構歩いてきた気がしたが、まだお昼過ぎぐらいだ。そして遂に、目指すアイルの家に到着した。 「……って、真裏じゃん!」  ミウは思わず、大声でそう言ってしまった。その通り、二人の家はお隣ではないが接していた。ある意味盲点だ。 「ああ、そうだったのか。ホントに物凄い奇遇だね」  なぜ今まで知らなかったのか、という意見は完全にすっ飛ばし、アイルは淡々と言う。ミウはあしらわれたような気持ちになり、表情を少し歪める。  が、アイルの目はミウに構わず、その前に立っていた婦人の方に向けられていた。その人もアイルの帰宅に気付き、走り寄って来る。しかしその焦点は、別の方向にあった。 「まあミミーちゃん!心配したのよ!」  婦人が飛び付いて抱き上げたのは、猫だった。いかにもお高級そうな服を揺らし、小太り気味の彼女は大袈裟に喜びを表現する。呆気に取られるミウだったが、アイルの方はどことなく笑みを浮かべていた。  やがて、婦人は猫の頭を優しく丁寧に撫でながら、二人の方に顔を向けた。一瞬、ミウの顔が緊張で強張る。 「どうもありがとうございました。貴女って本当にお仕事がお早いのですねぇ」 「いえいえ。こちらの子のお陰でもあります。では中でもう少しお話を」  そう冷静に受け答えするアイルだが、ミウはまさしく展開について行けなかった。そんな彼女をほっとき、アイルはドアを開けて婦人を招き入れ、自分も中に入ろうとする。 「……えーと……」 「どうもありがとね。近いうちにお礼はするから」  それを別れの挨拶にして、アイルはドアを閉めた。  存外にも、あっさりとした別れであった。ミウはしばし、ポツンと家の前に立つ。  ふと、彼女は目を上げた。あまり、民家らしくは無い家の、扉の上に目を向けた。 「……M&Z……探偵局……?」
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