一*爽やかな季節の中、想いは募る

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 わたしは棚に手をついて窓の外をじっと見る。  土井先輩はどこにいるのだろう。  必死になって赤いゼッケンを探す。 「土井先輩はたぶん、フィールドの真ん中あたりにいると思うぞ」  巡のアドバイスにわたしはフィールドの中央あたりを見たが、見当たらない。  ボールはわたしから見て右側にあるようで、たくさんの人が固まっている。  ゴールの中には赤いゼッケンをつけた人がいるということは、右側が赤チームで左側が青チームということだろう。  人が固まっていて、土井先輩がどこにいるのか分からない。  グラウンドからは声援が聞こえる。  わたしの真下に黒い頭がたくさん見える。  フィールドに視線を戻す。  両者は拮抗しているのか、赤と青のゼッケンが入り交じった塊はあまり動くことがない。  顧問がメガホンを手になにか指示を出している。  それがきっかけになったようで、動きがでた。 「あ──」  赤いすい星が現れた、と錯覚するほどだった。  塊を切り裂くその人は、土井先輩だった。  歓声が大きくなった。 「さすがだな、土井先輩」  少し下で巡の声が聞こえる。 「お、パスもうまいな」  土井先輩はボールを奪い、左側に向かってキックしていた。  てっきりスペース(選手がいない空間)にボールを蹴ってしまったのではないかと思ったが、それは杞憂だったようだ。  あろうことか、ノーマークの赤チームのフォワードだと思われる人物がゴール手前に立っていた。
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