一*爽やかな季節の中、想いは募る

19/20
前へ
/249ページ
次へ
 PK戦用のゴールは左側に決まったようだ。  そして先制はどうやら、青チームからだ。  PKは交互にゴール手前からシュートする。  五回繰り返し、点数が多い方が勝ちとなる。  青チーム一人目は緊張のせいか、ゴールを飛び越してしまった。  赤チーム一人目はキーパーに止められ……といった感じでなかなか、どちらのチームもゴールのネットを揺らすことができない。  青チームは五人とも、シュートを決めることが出来なかった。  そして、赤チームの五人目。 「土井先輩か」  わたしは乗りだし、入れと念じる。  フィールドは静まり、緊張が走る。  土井先輩は気合いを入れるとボールに向かって走り、シュートした。  ボールは空間を切り裂き──ゴールキーパーの左側を通って、白いネットを揺らした。 「や……ったあ!」  校庭に歓声が響き渡る。
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加