一*爽やかな季節の中、想いは募る

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「巡! やったよ!」  わたしは興奮のあまり、椅子の上に立ち上がった。 「奏乃っ! 危ないって!」  驚いた巡の声に自分の状況を思い出す。 「うわっ」  足下がぐらつく。  わたしは自分が立っている場所を思い出し、慌てて棚に手を掛けた。 「ったく、危ないなぁ、奏乃……」  足下の椅子はぐらぐらしていたが、巡が押さえてくれたからどうにかおさまった。 「白……か」  ぼそり、と巡のつぶやく声に眉をひそめる。 「……巡?」  嫌な予感。 「ん? なっ、なんでも……ないぞ。そっ、それより早く降りないと──」  その反応に、わたしは確信した。  椅子から飛び降り、巡のジャケットをつかむ。 「今、パンツ見たでしょっ」 「……み、見て……ない、よ?」  巡の視線は泳いでいる。  それで確信した。 「巡のエッチっ!」  反射的に巡の頬を叩いていた。 「奏乃のビンタは健在、と」  そのつぶやきにわたしはふんっと鼻息荒く、巡をにらんだ。
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