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「巡! やったよ!」
わたしは興奮のあまり、椅子の上に立ち上がった。
「奏乃っ! 危ないって!」
驚いた巡の声に自分の状況を思い出す。
「うわっ」
足下がぐらつく。
わたしは自分が立っている場所を思い出し、慌てて棚に手を掛けた。
「ったく、危ないなぁ、奏乃……」
足下の椅子はぐらぐらしていたが、巡が押さえてくれたからどうにかおさまった。
「白……か」
ぼそり、と巡のつぶやく声に眉をひそめる。
「……巡?」
嫌な予感。
「ん? なっ、なんでも……ないぞ。そっ、それより早く降りないと──」
その反応に、わたしは確信した。
椅子から飛び降り、巡のジャケットをつかむ。
「今、パンツ見たでしょっ」
「……み、見て……ない、よ?」
巡の視線は泳いでいる。
それで確信した。
「巡のエッチっ!」
反射的に巡の頬を叩いていた。
「奏乃のビンタは健在、と」
そのつぶやきにわたしはふんっと鼻息荒く、巡をにらんだ。
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