二*ラブレターとアントニオ

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 巡の家とわたしの家は徒歩一分の距離という近さで、中学校は同じ学区だったから一緒だった。  高校は学区という概念はあったけれどそれはあくまでも目安でそこに行かなくてはいけないということはなかった。  けど、わざわざ遠くの高校に行くだけの理由がなかったから一番近くの高校にしたというだけでここにやってきた。  巡は中学の時から頭が良かったから私立に行くと思っていたのに、なぜかここに入学した。  どうしてと理由を聞いたら、家庭の理由と、尊敬する美術の先生がいるからって言っていた。  中学の時も確かに同じく美術部ではあったけど、そんなに熱心に部活動をしていなかったからなにか引っかかりを覚えつつも、そうなんだ、わたしも千川原に受かったら美術部に入ろうなんて話をしたのは覚えている。  そして無事、千川原高校に入学して美術部に行くと、巡がいたのだ。
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