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言われて、思い出した。
身体が大きいことを武器に力任せになんでも自分の思い通りにしようとしている乱暴な男。
オレにも喧嘩をふっかけて来たけど、あっさりとやっつけてやった。
それ以来、あいつはオレに絡んでくることはない。
むしろ、オレの姿を見て逃げるほどだ。失礼なヤツめ。
「奏乃ちゃん、鈴木くんに向かって乱暴はやめなさいよって言ってたのよ」
ああ、そういう無鉄砲なところがあるんだよな、あいつ。
「鈴木くんは男女問わず乱暴をするから、奏乃ちゃんも押されて倒れたけど、それでも果敢に向かっていってたわ」
怖いもの知らず過ぎて、聞いているだけでもはらはらする。
「巡も将来、奏乃ちゃんに尻を敷かれるわね。まあ、巡は意外に情けないところがあるから、ちょうどいいんじゃないかしら」
奏乃に怒られてる自分を想像して、なんだか妙に幸せな気分になるオレ、おかしいか?
「呆れたように罵られるの、いいな」
「……馬鹿だわ」
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