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そして、あっという間に卒業式。
久しぶりに奏乃をまともに見たらやっぱり、諦めきれるわけ、ない。
あいつは「想いは言葉にしないと伝わらない」って言った。
ダメ元で告白するしかないだろう。
美術室での送別会が終わり、奏乃はごみを捨てに行った。
──チャンスじゃん。
「オレが鍵を掛けて帰るから、先にいいよ」
「でも、卒業生に頼むのは」
「いいから。こう見えても名残惜しいんだよ」
適当に理由をつけて、美術室から人を追い出した。
奏乃の荷物はまだ、美術室に残っている。
絶対に戻ってくる。
準備室に隠れて奏乃が帰ってくるのを待った。
隣の部屋が開く音がした。
よし、オレ、行け!
心臓が口から出てきそうなほど、緊張している。
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