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巡との出会いは、中学校の美術室でだった。
わたしは昔から絵を描くことが好きだったので中学に入ったら美術部と決めていて、すぐに入部した。
わたしが入った時は三年生の先輩が数人いるだけで二年生はいなくて、一年生はわたしだけ。
わたしが入部した時、先輩たちに激しく感謝をされた。
なんでも、わたしが入部しなかったら、美術部は廃部になっていたというのだ。
とそこへ、なぜか二年生の巡が入部してきた。
わたしは中学に入学したばかりで知らなかったのだが、巡は有名人だった。
存続が危惧されていた美術部であったが、巡が入ったことでその後、美術部は入部希望者が殺到した。
毎日、入部希望者の対応をしなくてはならない羽目に遭い、しかし、入部したばかりのわたしはなにをすればいいのか分からなくて教室の片隅で身を小さくして見ていることしか出来なかった。
こんなに人がやってくるのはわたしの後から入ってきた『皆本先輩』のせいというのは明らかで、美術部の活動ができなくて迷惑だなと恨めしい気持ちで巡をにらんだ。
視線に気がついた巡は教室の隅にいるわたしのところにやってきて、話しかけてきた。
『どうしてそんなところにいるんだ』
と。
たぶん、それが巡と最初にした会話だ。
『わたし、入ったばかりで美術部の活動内容を知らなくて、だけど先輩たちは入部希望者をさばくのに手一杯だから聞くに聞けなくて……』
巡は困ったような表情を浮かべ、入部の受付をしている先輩を少しの間見て、近寄った。
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