三*思いもよらない挑戦

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 あの日を思い出す。  練習試合を見ていた場所。  そうだ、いつもより高い所から見ていたのだ。  美術室は一階の一番端っこにあり、体育館が真横にある。  ここからだとフィールドが見えない訳ではないが、中心部から遠い。  一方、練習試合を見た巡の教室は三階だが、フィールドのど真ん中がよく見える。  なるほど、違和感の正体はこれか。  自分の中の記憶風景と練習風景をスケッチした棒人間たちが重ならないのは仕方がない。  見ていた場所が違えば、角度が違うのだから。  そこまでは分かったのだが、それでは、このギャップを埋めるにはどうすればいいのだろうか。  また、巡の教室から下を見て、練習風景をデッサンすればいいのだろうか。  なんだかそれは現実感がない。  夏休み中は一階しか立ち入りが許可されていない。  二階以上の教室は先生の許可がないと立ち入ることが出来ない。  とはいっても、縄が張ってあったりするわけではないから入ろうと思えば、入ることはできる。  見つかったとき、怒られるのは分かっていたし、それだけならまだしも、最悪な場合はクラブ活動停止なんて言われて、美術部のみんなに迷惑がかかる。  それでは、現実的な解決策は──と考え、今まで描きためてきた土井先輩のデッサンを取り出す。  この中のよく描けているものと練習風景を組み合わせて一枚の絵に仕上げるしかないだろう。  練習試合を思い出しながら、上からではなく横から見ていたらあの場面はどうなっていただろうかと想像しながら、組み合わせていく。  何枚も自分が納得が行くまで組み合わせる。
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