四*練習試合

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 いつもなら挨拶をして準備体操を始めるというのに、今日はなんだかいつもと様子が違う。  フィールドの中央にサッカー部員が集まり、マネージャーがなにかを手渡している。  見覚えのあるそれに、まさかという思いが駆け巡る。  赤と青。  あれは、以前、練習試合の時に見た、ゼッケン。  遠目からでも土井先輩と巡はしっかりと分かる。  土井先輩はあの時と同じ赤。  巡は青。  巡はいつの間に着替えたのか、白いTシャツにハーフパンツ。  靴もサッカーのスパイクというわけではないけど、スニーカーだ。  こうやって見ると、巡は身長もあるしバランスの良い体格をしているみたいで見ごたえがある。  デッサンの対象としてもなかなかいいのではないだろうか。  わたしは思わず、巡から借りたクロッキー帳を開き、鉛筆を走らせていた。  巡と土井先輩が並んで立っている。  なにかを話しているらしく、二人とも笑顔だ。  フィールドに広がり、準備体操が始まった。  わたしは夢中で土井先輩と巡を描く。  巡は本当にわたしのことがよく分かっている。  準備体操が終わると、赤と青のゼッケンをつけた人たちがフィールドの真ん中に集まってくる。  巡はわたしが見ているのが分かっているのか、こちらに向かって親指を立てて不敵な笑みを浮かべた。  真ん中に顧問の先生。
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