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フィールドの真ん中あたりに立っている土井先輩は悔しそうな表情を浮かべている。
そこで試合時間は残り五分くらい。
これで勝負がつかなければ、PK戦になるのだろう。
そこまで持ち込んだ巡ってすごい。
どちらも負けていられないと思ったようで、青チームはさっきまでのぎこちなさはどこへ行ったのやら、連携が取れだしたようで展開が読めなくなってきた。
青チームはやはり、土井先輩をマークしているようで思うように動けていない。
一方、巡はというと、やはり赤チームにしっかりとマークされてしまったようだ。
お互いが譲り合わないせめぎ合いが続き、残り一分が見えた頃。
土井先輩が動いた。
近くにボールが来たのを知った土井先輩はガードしている青チームをあっという間に翻弄して抜き去り、ボールをカットした。
それを見て、巡もあっさりとガードを外し、土井先輩に迫る。
巡は土井先輩のドリブルをカットするためにスライディングをしたが、あっさりとかわされる。
それでもすぐに立ち上がり、土井先輩を追いかける。
二人は並んで走り、巡が少し土井先輩を追い越した。
しかし。
土井先輩はそこで強くキックをして、ゴール前に待機しているフォワードに渡す。
そのままシュートされ……見事、ゴールキーパーを抜き去り、ゴールの中に吸い込まれた。
そしてそこで、無情にも終了のホイッスルが鳴り響いた。
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